1級電気工事施工管理技士の資格取得を目指そうと決意し、まず初めに調べるのが「受験資格」です。しかし、試験実施機関のウェブサイトや様々な解説記事を読んでみても、正直なところ、少し混乱してしまいませんでしたか。
「指定学科」「指導監督的実務経験」「専任の監理技術者」…。見慣れない専門用語が並び、学歴や卒業学科によって必要な実務経験年数が細かく分かれている表を前に、「結局、自分の場合はどれに当てはまるのだろう?」と、ため息が出そうになるのも無理はありません。特に、これまでの職務経歴が「実務経験」として認められるのかどうか、自信を持って判断できる方は少ないかもしれません。
せっかくのやる気が、この複雑な制度の前でしぼんでしまうのは、あまりにもったいないことです。
この記事では、そんなあなたのために、どこよりも分かりやすく、1級電気工事施工管理技士の受験資格を解き明かしていきます。難しい言葉は使わず、あなたがご自身の経歴を当てはめるだけで、必要なルートがはっきりと見えてくるように、順を追って丁寧にご案内します。読み終える頃には、目標までの道のりが明確になっているはずです。
まずはこの大原則だけ。受験資格は「学歴」と「実務経験」の組み合わせで決まります
複雑に見える受験資格ですが、その仕組みは実はとてもシンプルです。まずは頭の中を整理するために、たった一つの大原則を覚えてください。それは、受験資格が**「あなたの最終学歴」と「これまで積んできた実務経験の年数」**という、たった2つの要素の組み合わせで決まる、ということです。
一旦、細かい条件や専門用語は忘れて、「学歴」と「経験年数」という2つの物差しがある、とイメージしてみてください。
もちろん、この「学歴」の中には、電気工学や建築学といった「指定学科」を卒業したか否か、という要素が含まれます。一般的に、指定学科を卒業している方が、求められる実務経験の年数は短くなる傾向にあります。これは、大学などで学んだ専門知識が、実務経験の一部として考慮されるためです。
しかし、ここで「自分は指定学科じゃないから不利だ…」とがっかりする必要は全くありません。指定学科以外を卒業した方にも、道はきちんと用意されています。求められる経験年数が少し長くなるだけで、資格取得が不可能になるわけでは決してないのです。
大切なのは、この「学歴」と「実務経験」という2つの軸を理解し、ご自身の現在地を正確に把握すること。それが、最短ルートで目標にたどり着くための、最も確実な第一歩となります。まずはこの大原則を頭に入れて、次のステップに進んでいきましょう。
【逆引き診断】あなたの最終学歴から、最短で受験できるルートを探す
それでは、ここから具体的に、あなたの経歴に合わせた最短ルートを探していきましょう。ご自身の最終学歴に当てはまる項目をご覧ください。
大学を卒業された方
電気工学、電子工学、建築学、土木工学といった「指定学科」を卒業された場合、求められる実務経験は3年以上です。これには、1年以上の指導監督的な実務経験を含んでいる必要があります。
一方、指定学科以外の学部・学科を卒業された方は、4年6ヶ月以上の実務経験(うち1年以上の指導監督的実務経験を含む)があれば、受験資格を得られます。
短期大学や高等専門学校(5年制)を卒業された方
これらの学校で「指定学科」を卒業された場合、必要な実務経験は5年以上となります。この中にも、1年以上の指導監督的な実務経験が含まれていなければなりません。
指定学科以外を卒業された場合は、実務経験が7年6ヶ月以上(うち1年以上の指導監督的実務経験を含む)必要です。
高等学校や中等教育学校を卒業された方
高校などで「指定学科」を卒業された場合、原則として10年以上の実務経験が求められます。この場合も、1年以上の指導監督的な実務経験が必要です。
指定学科以外のご卒業であれば、必要な実務経験は11年6ヶ月以上(うち1年以上の指導監督的実務経験を含む)となります。
上記以外の学歴の方、または2級合格者の方
最終学歴を問わず、15年以上の実務経験(うち1年以上の指導監督的実務経験を含む)があれば、どなたでも受験資格があります。
また、学歴に関係なく、先に2級電気工事施工管理技士の試験に合格している場合は、合格後に5年以上の実務経験(うち1年以上の指導監督的実務経験を含む)を積むことで、1級の受験資格を得ることも可能です。
その経験、認められないかも?実務経験の「落とし穴」【Q&A】
ご自身のルートが見えてきたところで、次に注意したいのが「実務経験」の中身そのものです。ただ会社に在籍し、年数が経てば自動的に認められる、というわけではありません。ここには意外な「落とし穴」が潜んでおり、せっかくの経験が無駄になってしまわないよう、正しい知識を持っておくことが不可欠です。よくある疑問に、Q&A形式でお答えします。
Q1. どんな仕事が「実務経験」として認められるのですか?
A. これは最も重要なポイントです。実務経験として認められるのは、電気工事の**「施工管理」に直接関わった経験**です。具体的には、現場で施工計画を作成したり、工事全体のスケジュールを管理する「工程管理」、図面通りに施工されているかを確認する「品質管理」、そして職人さんたちの安全を守る「安全管理」といった業務が該当します。
一方で、注意が必要なのは、設計業務のみ、CADを使って図面を作成する業務のみ、工事費用の見積もりを行う積算業務のみといった場合は、原則として施工管理の実務経験とは見なされません。ご自身の業務内容が、きちんと「管理」業務に含まれているかを確認することが大切です。
Q2. 「指導監督的実務経験」って、具体的には何ですか?
A. これは、1級の受験資格で必ず求められる要素です。言葉の響きから「主任」や「現場代理人」といった役職についていないといけない、と思われがちですが、必ずしもそうではありません。重要なのは、役職名ではなく**「現場において、部下や下請け業者の方々に対して指示を出し、指導・監督する立場にあったか」**という事実です。たとえば、現場で職人さんたちに作業手順を指示したり、安全に関する注意喚起を行ったりといった経験がこれにあたります。自身の経験を振り返り、そうした立場での業務があったかを思い出してみてください。
Q3. 転職した場合、前の会社での経験も合算できますか?
A. はい、合算することができます。 複数の会社で積んだ施工管理の経験は、それぞれの在籍期間を合計して計算することが可能です。ただし、受験を申し込む際には、過去に在籍したすべての会社から、それぞれ「実務経験証明書」を発行してもらい、提出する必要があります。円満に退職することはもちろん、将来のために、在籍期間や業務内容を正確に記録しておくことをお勧めします。
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あなたのロードマップは見えた。さあ、未来への計画を立てよう
ここまで読み進めてくださった今、あなたの頭の中には、1級電気工事施工管理技士というゴールまでの、ご自身だけの具体的なロードマップが描かれているのではないでしょうか。
最初は複雑で、どこから手をつけていいか分からなかった受験資格も、一つひとつ丁寧に紐解いていけば、決して乗り越えられない壁ではないことが、お分かりいただけたかと思います。ご自身の学歴と、これから積むべき実務経験を正しく理解し、計画を立てること。それが、夢を実現するための確かな第一歩です。
そして、忘れないでください。資格取得は、あなたのキャリアにおけるゴールではありません。それは、社会のインフラを支えるプロフェッショナルとして、より大きな責任とやりがいを担うための、輝かしいスタートラインです。
そのスタートラインに立ったとき、あなたが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、実務経験を積むこれからの数年間を、ぜひ有意義なものにしてください。あなたの未来を本気で応援してくれる環境で、確かなスキルと知識をその両手に掴み取ってほしいと、心から願っています。
この記事が、あなたの次の一歩を考えるきっかけになれば幸いです。